検証 —「摩擦と摩耗のマニュアル」— 金属学的組織の選定
弊社で1999年に出版した書籍「摩擦と摩耗のマニュアル」(HEF/CETIM著,桑山昇訳)は、原書のフランス語版が1973年に出版された随分古い本である。
その後ちょうど30年経ち、原書の編集と監修をおこなったHEF社のMichel CARTIER氏の編集によって、新しい技術を盛り込んだ追補版のような内容で、2003年にイギリスのProfessional Engineering Publishing社より、Tribology in Practice Seriesの1巻として、Handbook of Surface Treatments and Coatingsが発刊されている。
この新しい書籍は、写真や図表も豊富で、1973年版「摩擦と摩耗のマニュアル」の現場ですぐ役立つハンドブックの精神を引き継いでいるが、残念ながらフランス語からの英語訳が大変わかりにくい。
ここでは、少し大袈裟ではあるが、検証 -「摩擦と摩耗のマニュアル」と題して、各章にポイントとして挙げられているアドバイスの妥当性を、その後のトライボロジー研究書や上記の新しいハンドブック(以降、新ハンドブックと呼ぶ)、また場合によっては実験によって検証する試みに挑戦してみたい。
「摩擦と摩耗のマニュアル」(以降、マニュアルと呼ぶ)の第1章は摩擦・摩耗の基礎として、1.1摩擦部品の表面状態の考察から始まる。
その第1項は金属学的組織の選定 であり、以下の4つのポイントがアドバイスされている。